期初。会社から部署の数字が降りてくる。それを部下の人数で割って、「今期はこれでお願いね」。部下は「はい」と答えて、目標シートに書く。
で、期末の面談。「あれ、私の目標ってなんでしたっけ?」
部下育成の目標を、どう書けばいいのか。そう検索して、この記事にたどり着いたあなたも、似たような場面に覚えがあるかもしれませんね。
ボクがサラリーマン時代に経験した6社のうち、目標設定があった会社では、だいたいこうでした。期初に書いて、期中に忘れて、期末に思い出す。部下だけではなく、上司も、です。
誤解のないように言うと、会社の数字が降りてくるのは当たり前です。会社は利益を出すために動いていますもの。ただ、降りてきた数字をそのまま置くだけだと、また同じことが起きると思うのです。
申し遅れました。ボクはこれまで企業の組織づくりを支援しながら、noteにリーダーシップについて600本以上書いてきました。この記事では、降りてきた数字を、部下本人の目標に変える書き方を、職種別・階層別・管理職向けの記入例15本と一緒にお伝えします。
この記事でわかること
- 部下育成の目標が、期中に忘れられてしまう理由
- 「なりたい姿 → 毎日やること → 会社の数字」の順で書く、目標の書き方
- 降りてきた数字と、部下のなりたい姿をつなぐ3つの型
- 職種別・階層別・管理職向けの記入例15本(×/◯つき)
- 目標を、上司との「約束」に変える方法
部下育成の目標が忘れられる理由|降りてきた数字を、そのまま置くから
まず、なぜ目標が忘れられてしまうのか、から。
最初にお伝えしておきたいのは、数字の目標が悪いわけではない、ということです。会社全体の目標が、部署へ、個人へと降りてくる。会社で働くプロとして、割り当てられたら、がんばる。それは当然ですね。
問題は、降りてきた数字が、本人の気持ちと関係なく、そのままシートに置かれていることだと思うのです。
ありがちな目標設定がうまくいかない理由は、たぶん4つあります。
- 自分ごとではなく、結局は組織からの押し付けで
- 1年後(半年後)なんて未来すぎて、現実的に思えなくて
- 年に3回くらいしかその話をしないから、重要にも思えなくて
- 達成できるかどうかには、自分の努力以外の影響も大きくて
だから、やる気にならない。期中には、上司も部下も中身を忘れてしまう。「達成できない目標を書かせて、給料を上げないための証拠でしょ」。そんな声を聞いたこともあります。
年に数回しか見返さない目標は、データとしてはあっても、働いてはいないのかもしれません。
数字が悪いのではないのです。シートに数字しか書かれていないのですね。では、何を足せばいいのでしょう?
部下育成の目標の書き方|「なりたい姿 → 毎日やること → 会社の数字」の順で言語化する
目標って、じつは2種類あると思うのです。
ひとつは、少し先にある「たどり着きたい場所」。会社の数字はこちらですね。もうひとつは、「毎日やることを決めて、それを毎日やる」という目標。前者だけだと、えいやで決めて、達成したり、しなかったり。後者があると、毎日続けたこと自体が、本人の自信になります。
で、ボクは順番を変えてみることをおすすめしたいのです。
- 本人のなりたい姿を聞く
- そこに近づくために毎日やることを決める
- それを会社の数字とつなぎ合わせる
上司が最初にやること|会社の話より先に、なりたい姿を聞く
いちばん大切なのは、1の順番です。会社の数字の話を、先にしない。
数字から入ると、部下は「はい」としか言えません。でも、「どうなりたい?」から入ると、話は前向きになります。自分の話なのですから。
問いかけは、たとえばこんな感じです。
- 「今はできないけど、できるようになりたいことってある?」
- 「1年後、どんな仕事をしていたらうれしい?」
- 「最近、仕事で楽しかったのはどんなとき?」
ま、「特にないです」と返ってくることもありますね。そんな時期は、誰にでもあるものです。そのときは、どんな姿だとわくわくするかをあれこれ話して、仮で置いてみる。違うかもしれない。でも、今はわからないのだから、とりあえず。仮の姿に近づく何かを毎日やっていると、気づきがあると思うのです。
シートに書くこと、書かないこと
ここで、ひとつ線を引いておきましょう。
本人のなりたい姿そのものは、シートに書かなくていい。面談で話して、本人の手元に残しておく。評価のシートに書いた途端、なりたい姿まで評価されるような気がしてしまいますものね。
シートに書かないこと
- 本人のなりたい姿そのもの(例:「ひとの役に立っている実感がほしい」)
シートに書くこと
- なりたい姿を、仕事の言葉に訳したもの(例:「お客様から最初に相談される担当になる」)
- 毎日やること
- 上司の関わり
4つの欄に「上司の関わり」を1行足す
多くの会社の目標シートは、「何を」「どのくらい」「いつまでに」「どうやって」で構成されていると思います。目標設計の形は、そのままでいいのです。変えるのは、中身の入れ方です。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 何を | なりたい姿を、仕事の言葉に訳したもの |
| どのくらい | 降りてきた会社の数字(そのまま入れてよい) |
| いつまでに | 期限 |
| どうやって | 本人が自分で決めた、毎日やること(5分・1件・1回の大きさ) |
| +上司の関わり | 上司は何を見守り、困ったときに何を助けるか |
最後の1行が、ボクがいちばん足したいところです。部下の目標は、部下ひとりで背負うものではありませんものね。
書いたあとの仕上げ|SMARTで確かめる
書き終えたら、仕上げのチェックです。目標設定の本によく出てくる「SMART」。具体的か、測れるか、達成できそうか、会社や本人の方向と合っているか、期限があるか。ま、横文字ですが、確かめる道具としては便利です。
ボクがひとつだけ足すなら、「いつまでに」を、毎日の行動の大きさまで細かくできているか。毎日のことなら、上司も「今日もやった?」と声をかけやすいですもの。
降りてきた数字と「なりたい姿」のつなぎ方|3つの型
さて、ここからがこの記事の本題です。降りてきた数字と、本人のなりたい姿を、どうつなぐか。
正直に言うと、いつもきれいにつながるわけではありません。まっすぐつながるひともいれば、少し遠回りでつながるひともいる。まったくつながらないひともいます。ボクは、つながり方を3つの型で考えています。
| 型 | どんなとき | どうつなぐか |
|---|---|---|
| 型A:まっすぐつながる | なりたい姿と会社の数字が、同じ方向を向いている | 「何を」に、なりたい姿を訳して入れる |
| 型B:力を通してつながる | なりたい姿に必要な力を、今の仕事で鍛えられる | 「どうやって」の毎日やることで、その力を鍛える |
| 型C:つながらない | なりたい姿と今の仕事が、関係ない | 会社の数字はそのまま置き、別の軸で毎日やることを決める |
型A:まっすぐつながる
たとえば、「ひとの役に立っている実感がほしい」という営業の部下。追加受注の数字は、お客様に頼られた結果ですね。だから「何を」に「お客様から最初に相談される担当になる」と書く。同じ数字なのに、本人の言葉に変わります。
型B:力を通してつながる
たとえば、「いつか企画の仕事がしたい」という新規開拓の若手。今の仕事は企画ではありません。でも、お客様の困りごとを聞き取って提案にまとめる力は、企画にも必要です。だから「どうやって」に、その力を鍛える毎日のことを書く。
型C:つながらない
たとえば、経理の部下が「今の仕事とは関係ないけど、人前で話せるようになりたい」。無理につなげなくていいと思うのです。会社の目標数字は、プロとしてそのまま達成を目指す。で、人前で話すことは別の軸で、月1回、朝礼で1分話してもらう。職場の中で練習できることなら、上司も応援しやすいですものね。続けたこと自体が、きっと自信になりますもの。その自信は、いつか仕事にも返ってくるはずです。
つなぎ方を考えるのが、上司の腕の見せ所
どの型になるかを見極めて、毎日やることの中身や量を、本人と一緒に調整する。妙なパズルではありますが、これが上司の腕の見せ所なのですね。
ひとつだけ、気をつけたいことがあります。調整するのは、毎日やることのほうだけ。本人のなりたい姿には、手を入れない。「それは会社的にちょっと」と姿のほうを直してしまうと、また押し付けに戻ってしまいますから。
毎日続けたからといって、数字が必ず達成できるとは言えません。結果には、自分の努力以外の影響もありますもの。でも、毎日続けたことは自信になる。その先で、会社の数字にも近づきやすくなる。ボクはそう思うのです。
【職種別】部下育成の目標の記入例(例文)
ここからは、記入例です。どれも、次の流れで書いています。
- 降りてきた数字
- 面談で聞いた、本人の言葉(シートには書かない)
- ×数字をそのまま置いた目標
- ◯シートに書く4つの欄+上司の関わり
職種は、地方の中堅・中小企業に多い、営業・事務・製造・販売の4つにしました。
先にお伝えしておくと、どの記入例も、会社の数字の水準は下げていません。前期より高い数字も、そのまま置いています。そのうえで、「何ができたら達成か」が本人にも上司にも分かるように、判断の目安を添えました。目標をやさしくするのではなく、そこに届くまでの毎日の道筋と、上司の手助けを書き足しているのですね。
営業職の記入例
① 型A:まっすぐつながる
- 降りてきた数字:既存顧客からの追加受注 月3件
- 面談で聞いた言葉:「ひとの役に立っている実感がほしい」(シートには書かない)
×「追加受注 月3件を達成する」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | お客様から最初に相談される担当になる |
| どのくらい | 追加受注 月3件(前期は月1件)/お客様から先に届く相談 月5件 |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日1件、既存のお客様に用件のない連絡を入れる。商談のあとは5分で気づきを1行メモする |
| 上司の関わり | 週1回メモを一緒に読む。同行してほしい商談があれば、最優先で付き合う |
② 型B:力を通してつながる
- 降りてきた数字:新規訪問 月20件、新規契約 月1件
- 面談で聞いた言葉:「いつか企画の仕事がしたい」(シートには書かない)
×「新規契約 月1件を達成する」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | お客様の困りごとを、提案の形にまとめられる営業になる |
| どのくらい | 新規訪問 月20件、新規契約 月1件(前期は2か月に1件)/困りごとメモから作った提案書 月2件 |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日1枚、訪問したお客様の困りごとを「困りごと・原因・打ち手」の3行でメモする |
| 上司の関わり | 週1回メモを1枚選んで、一緒に提案書に育てる。よくできたものは企画の担当者に見せる |
事務・管理部門の記入例
① 型B:力を通してつながる
- 降りてきた数字:月次の締め作業 5日 → 4.5日
- 面談で聞いた言葉:「いつかひとに教えられるくらい詳しくなりたい」(シートには書かない)
×「締め作業を10%短縮する」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 「経理のことは〇〇さんに聞けば分かる」と言われる担当になる |
| どのくらい | 締め作業 5日 → 4.5日/担当業務の手順書 10件(ほかのひとがそれを見て作業できたら1件と数える) |
| いつまでに | 半年後まで |
| どうやって | 毎日15分、担当業務の手順を1つずつ書き足す |
| 上司の関わり | 月1回手順書を一緒に見る。できたものは、ほかの部署に紹介する場をつくる |
② 型C:つながらない
- 降りてきた数字:請求処理のミス 月0件
- 面談で聞いた言葉:「今の仕事とは関係ないけど、人前で話せるようになりたい」(シートには書かない)
×「請求処理のミスをゼロにする」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 請求処理を、安心して任せられる担当になる |
| どのくらい | 処理ミス 月0件(前期は月平均2件)/期末まで6か月続けて0件で達成 |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 処理が終わるたびに、確認リスト10項目をチェックする。ミスが起きかけたところは、その日のうちにリストへ1行足す |
| 上司の関わり | 月1回、確認リストを一緒に見直す。0件が3か月続いたら、ほかの請求業務も任せる |
| 別の軸 | 毎日、朝礼で話したいことを1行メモする。月1回、朝礼で1分話す(上司は、話したあとによかった点を1つ伝える) |
製造・技術職の記入例
① 型B:力を通してつながる
- 降りてきた数字:段取り替え時間 40分 → 30分
- 面談で聞いた言葉:「機械に強くなりたい」(シートには書かない)
×「段取り替え時間を25%短縮する」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | ラインの段取り替えを、一人で任されるひとになる |
| どのくらい | 段取り替え時間 40分 → 30分、一人で月10回(手直しなしで終えたら1回と数える) |
| いつまでに | 上期末まで |
| どうやって | 毎朝始業前の5分、前日の段取りで手間取ったところを1つ書き出す |
| 上司の関わり | 週1回それを一緒に読む。改善案が出たら、現場の会議で本人に発表してもらう |
② 型A:まっすぐつながる
- 降りてきた数字:不良率 2% → 1.5%
- 面談で聞いた言葉:「若手に技を残したい」(シートには書かない)
×「不良率を25%下げる」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 若手が迷わず作業できる手順を残すひとになる |
| どのくらい | 不良率 2% → 1.5%/不良が出やすいポイントの手順 10個(若手がそれを見て作業できたら1個と数える) |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日1つ、不良が出やすいポイントを写真つきで記録する |
| 上司の関わり | 月1回、若手向けの勉強会の場をつくり、本人に話してもらう |
販売・サービス職の記入例
① 型A:まっすぐつながる
- 降りてきた数字:リピート率 前年比+10%
- 面談で聞いた言葉:「ひとと話すのが好き。お客さんに覚えてもらえたらうれしい」(シートには書かない)
×「リピート率を10%上げる」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 常連さんの名前と好みを覚えている店員になる |
| どのくらい | リピート率 前年比+10%/名前で声をかけられる常連さん 20人(名前と好みを1つ以上言えたら1人と数える) |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 閉店後の3分、印象に残ったお客様を1人ノートに書く |
| 上司の関わり | 月1回ノートの話を聞く。接客で迷った場面は、責めずに一緒に振り返る |
② 型B:力を通してつながる
- 降りてきた数字:客単価 前年比+5%
- 面談で聞いた言葉:「いつか自分のお店を持ってみたい」(シートには書かない)
×「客単価を5%上げる」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | おすすめを、自分の言葉で伝えられる店員になる |
| どのくらい | 客単価 前年比+5%/おすすめカード 月20枚(売り場で使えたものを数える) |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日1品、おすすめの理由を3行でカードに書く |
| 上司の関わり | よく書けたカードは、売り場のPOPに使う。月1回、売れた理由を一緒に振り返る |
【階層別】部下育成の目標の記入例|新人・中堅
次は、階層別です。新人と中堅で、つまずきやすいところが少し違います。新人は「何をすればいいか分からない」。中堅は「なりたい姿が出てこない」。そこを意識して書いています。
新人・若手の記入例
① 型B:力を通してつながる
- 降りてきた数字:電話の一次対応を一人で完結 1日3本
- 面談で聞いた言葉:「早く一人前だと思われたい」(シートには書かない)
×「報連相を徹底する」(何をすればいいのか、本人に分からない)
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 電話対応を、一人で最後まで終えられるようになる |
| どのくらい | 取り次がずに終えられる電話 1日3本(月末の1週間、毎日続いたら達成) |
| いつまでに | 入社3か月まで |
| どうやって | 毎日1本、先輩の電話を横で聞いて、言い回しを1つメモする |
| 上司の関わり | 最初の1か月は、電話のあとに1分だけ「どうだった?」と聞く |
② 型B:力を通してつながる
- 降りてきた数字:一人で担当できる業務 3つ
- 面談で聞いた言葉:「先輩に頼られる側になりたい」(シートには書かない)
×「担当業務を早く覚える」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 次の新人に教えられるくらい、仕事を覚える |
| どのくらい | 一人で担当できる業務 3つ(先輩の確認なしで3回続けて終えられたら1つ)/新人向けメモ 30項目 |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日1つ、覚えたことを新人向けメモに書き足す |
| 上司の関わり | 月1回メモを読んで、間違いは責めずに直す。次の新人が入ったら、メモを使う場をつくる |
中堅社員の記入例
① 「特にないです」から、仮で置いた例
- 降りてきた数字:後輩が一人で回せる業務 3つ
- 面談で聞いた言葉:最初は「特にないです」。話していくうちに「後輩に頼られるのは、嫌じゃない」→ 仮で置く(シートには書かない)
×「後輩の指導を月2回以上担当する」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 後輩から「教え方が分かりやすい」と言われる先輩になる |
| どのくらい | 後輩が一人で回せる業務 3つ(手順書があり、後輩が3回続けてミスなく終えたら1つと数える) |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日終業前の10分、後輩の作業を1つ一緒に確認する。教えたことは、その日のうちに手順書に書き足す |
| 上司の関わり | 後輩が育った分を、本人の成果としてちゃんと評価する。教え方に悩んだら一緒に考える |
② 型A:まっすぐつながる
- 降りてきた数字:チームの残業時間 前年比10%減
- 面談で聞いた言葉:「チームをまとめる仕事を、やってみたい」(シートには書かない)
×「チームの残業時間を10%減らす」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | チームの状況を、自分の言葉で伝えられるリーダーになる |
| どのくらい | チームの残業時間 前年比10%減(期の月平均で判断)/終礼の実施 営業日の9割 |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎日の終礼で1分、チームの進み具合と困りごとを話す |
| 上司の関わり | 週1回、終礼の話について感想を伝える。判断に迷う場面は、任せたうえで相談に乗る |
【管理職向け】自分の目標シートに書く「部下育成」の記入例
管理職の方は、自分の目標シートにも「部下育成」の項目があって、手が止まることがあるかもしれませんね。
よく見かけるのが、「部下全員の目標達成率100%」という書き方。ま、わかりやすいのです。でも、部下の結果をそのまま上司の数字にしてしまうと、面談が追い込みになりやすい。だから、上司が自分で決められる行動のほうを数字にします。
じつは、部下のシートに書いた「上司の関わり」の行を集めると、それがそのまま、管理職自身の目標になるのです。
数字で書く場合
×「部下全員の目標達成率100%」(部下の結果を、上司の数字にしている)
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 部下が、自分で決めた毎日のことを続けられるチームにする |
| どのくらい | 部下5人全員と毎日1分の声かけ(実施率9割、手帳の記録で確認)。期末面談で全員が「自分で決めた目標だ」と言える |
| いつまでに | 今期末まで |
| どうやって | 毎朝、部下1人に「例の毎日のこと、どう?」と聞く。気づいたことを週1回、1行で記録する |
| 自分の支え | 月1回、自分の上司に育成の悩みを相談する |
行動・状態で書く場合
×「部下とのコミュニケーションを活性化する」
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 部下が自分から相談に来てくれる関係をつくる |
| どのくらい | 部下全員と月2回・30分の1on1(上司と部下が1対1で話す面談)を、実施率100%で続ける/部下からの提案を、期中に3件以上実行に移す |
| いつまでに | 半年後まで |
| どうやって | 1on1では、指示より先に「どうしたい?」と聞く。報告には、その日のうちに一言返す |
| 自分の支え | 月1回、自分の上司に部下の育成状況を報告し、詰まっているところを相談する |
期初の面談で書く場合
×「部下全員と期初面談を実施する」(面談をすること自体が目標になっている)
| 欄 | ◯ シートに書くこと |
|---|---|
| 何を | 部下全員のなりたい姿を知っている上司になる |
| どのくらい | 期初に部下全員と30分。会社の数字の話をする前に「どうなりたいか」を聞く。全員分の本人の言葉が手帳にそろったら達成 |
| いつまでに | 期初1か月以内 |
| どうやって | 面談のあと、本人の言葉を1行だけ自分の手帳に書く(シートには書かない) |
| 自分の支え | つなぎ方に迷ったら、同じ立場の管理職と相談する |
「うちの部下の場合、どうつなげばいいのだろう?」と迷ったら、一度お話ししませんか。毎月3社限定で、初回60分の無料相談を受けています。お問い合わせはこちら
部下育成の目標を、上司との「約束」に変える
さいごに、書いた目標を、もう忘れられる紙にしないための話です。
「目標」は、目指すけど、達成できるかはわからない。つい、そう思ってしまいます。でも、「約束」と言われると、なんだか守らないと、と思えてきませんか。約束には、自分以外のひとが関わるからですね。
ボクは、目標をこんなふうに変えていくのがいいと思っています。
- 自分の目標
- 自分との約束
- 大切なひととの約束
だから、部下の毎日やることは、上司との約束にしてしまう。そして、上司のほうも約束するのです。「毎日、気にかけるよ。困ったら助けるよ」と。シートの「上司の関わり」の1行は、その約束なのです。
目標を決めて、あとは期末に結果を見るだけ。うまくいかなかったら、低い評価。それでは、部下を放り出しているのと同じだと思うのです。リーダーは、部下の目標を達成するために、日々動く。評価が悪かったら、ごめんなさい、と謝るのはリーダーのほう。ボクはそう思っています。部下の目標は、上司も一緒に背負うものなのですね。
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よくある質問(FAQ)
Q. 会社の数字の目標は、どう扱えばいいですか?
そのまま「どのくらい」の欄に置いてください。会社で働くプロとして、数字の目標は大切です。変えるのは、書く順番と、「何を」「どうやって」の中身のほうです。
Q. 部下が「なりたい姿なんて、特にない」と言ったら?
そういう時期は、誰にでもあります。無理に引き出さず、どんな姿だとわくわくするかを一緒に話して、仮で置いてみてください。仮の姿に近づくことを毎日やっていると、本人に気づきが出てくると思うのです。
Q. 会社のシートに「上司の関わり」を書く欄がない場合は?
会社のシートは、そのままでいいと思うのです。ルールはルール。「どうやって」の欄に本人が決めた毎日のことを書いて、上司の関わりは、面談のメモや余白に1行添えておく。会社の数字は「会社との約束」、その1行は「あなたと上司の約束」。二つあっていいのですね。
Q. 毎日やることが続かなかったら?
責めずに、量を小さくしてみてください。15分が続かないなら5分に。1日3件がきついなら1件に。続けられる大きさまで一緒に下げるのも、上司の関わりのひとつです。
まとめ|毎日すると決めたことを、毎日する
最後に、この記事の要点を3つだけ。
- 会社の数字は、そのままでいい(変えるのは、書く順番と中身)
- なりたい姿 → 毎日やること → 会社の数字の順で書く(なりたい姿はシートに書かず、仕事の言葉に訳す)
- つなぎ方は3つの型(まっすぐ/力を通して/つながらないなら別の軸で)
ボクは、noteを1000日続けて書くと、大切な仲間と約束したことがあります。雨でも、忙しくても、旅の途中でも、毎日書く。1000日たったとき、残ったのは記事の数よりも、「続けられた」という自信でした。
毎日すると決めたことを、毎日する。それが「目標」なのだと、ボクは思うのでした。
お読みいただきありがとうございます。
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野見山 征也|のみやま まさや
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